Barros-Keiコラムとは?

フィリピンにおける裁判手続きや結婚手続きなどで多くの誤認情報をネットで見かけます。またフィリピン人からの古い口コミ情報を信じている人も沢山います。以前日本のかなり手広くやっている行政書士グループ会社ウェブサイトに、当社の文章を丸々パクられたことがあります。責任者にすぐにクレームを出し全て削除させました。たとえ肩書きが弁護士や行政書士であっても、日本にもフィリピンにも専門知識のない業者は数多くいます。しかし知識や情報を持っていない依頼者の方たちは、その肩書きを信じて頼るしかありません。そういう現状から本コラムが、これからフィリピンで何かアクションを起こそうとする方たちのために、少しでも役立つものになればいいと思います。また立派な肩書きを持つ人たちは、それに恥じないようもう少ししっかりと勉強してから情報を発信すべきです。そもそも知識や経験というものは、フィリピンに長く在住しているから自動的に得られるというものでは絶対にありません。同じようなレベルの人間としか交流がないのであれば、たとえ50年在住していようとも、濃い日々を過ごした人の1ヶ月にも及ばないことがあるのです。当コラムの目的はそれらを正し正確且つ最新の情報を伝えることにあります。
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2015年6月15日月曜日

叔母新居訪問で垣間見た賢いフィリピン人の投資ビジネス

義叔母の新居を当グループ企業の建築デザイナーに設計させ、私がさらに細かい注文を出して約半年間の工期を経て2ヶ月前に完成しました。しかし遊びにお出でという誘いを何度も受けながら忙しさに感けて断ってきました。今月に入り痺れを切らした義叔母が一体いつになったら来るんだと矢の催促をしてきたので、さすがにこれは放置しておくわけにもいかず6月12日から一泊で訪問してきました。

場所はケソン市バタサン。敷地面積は120平米、床面積は180平米の日本式で言えば4LDKです。広くはないですが見掛けは写真のように見栄えの良い仕上げになっています。

デザインは当初は最近多くなってきたZENスタイルだったのですが、私はあのデザインは近代的ですが薄っぺらな印象なので大嫌いなのです。そこでもっと重厚感のある造りで建築費用は安くても見栄えの良いものを造ろうというコンセプトで行った結果がこの住宅なのです。

窓は網戸付のアルミサッシで窓外には外部からの進入防止に写真のようなデザイン枠を付けました。更に1階と2階にはCCTV監視カメラを4箇所に設置、出入り口は鋼鉄枠にオーク製ドア、裏口は鋼鉄製の分厚いドアとセキュリティにはデザインをできるだけ損なわない範囲で万全を期しました。

2階は部屋の周囲がぐるりと回れる回廊デザインのベランダになっており裏手には物干しができるようになっています。私が特に拘ったのは壁の厚さと電気の配線、排水管で壁は他の住宅と比較しても1.5~2倍の厚さ、コンセントや電話、TV配線も数を普通の倍以上にしエアコンの排水も外に垂れ流さないで排水管の埋め込み、壁厚な分、ビルトインのキャビネットなども全て設計、という手の込んだデザインとしました。

ところで本題に入りますが、この一戸建の総額がお判りになりますか?

土地は1平米1,000ペソなので12万ペソ。建築費用は限界まで安い資材を調達したおかげで約80万ペソ。ケソン市内それもコモンウエルス沿いの地域で総額100万ペソかかっていないのです。通常この土地ならばなんと1平米8千~1万2千ペソが相場です。

この土地の驚くべき安さにはカラクリがあります。この地域の土地は今から30数年前に政府の私有地として、一般庶民に25年間の借地契約で無料(!)貸出したものなのです。当時は農業政策の一環として農家軒数増大目的のために農夫家庭を中心に流入させるのが政府の狙いでした。しかし実際にはマイクロビジネス中心の一般住宅街が形成され農地的要素は消滅したのです。

そして契約期間を過ぎたため政府の主導により、地上げ政治家であるハイエナたちの参入を阻止することもあって、国家住宅庁(NHA=National Housing Authority)及びケソン市役所の管轄とし、正確な再区画割によって随時購入できるシステムに変更されたことにより、地域住民は今回の義叔母のような恩恵を受けることとなったのです。

義叔母はOFWとして稼いだ資金を元に、17年前にこの地域の土地を4箇所取得、それぞれに住宅を建築し、賃貸住宅ビジネスを始めました。ローカルしかもこのような地域なので家賃は3千ペソ均一、他にテナント物件3件の賃貸、食料品店、ケータリングも行っています。マイクロビジネスが密集しておりすぐ近くにはローカル市場があるので、そういった事業主対象に金貸しも行っています。ちなみに現在の貸付総額はすでに38万ペソだそうです。義叔母は折角建築したこの住宅も賃貸に出す計画と聞いています。

この政府による無料借地の地域は全国に十数箇所あるということです。詐欺まがいのコンドミニアム投資なんぞにいつまでも目を向けず、こういった土地を如何に手に入れるか知恵を絞ってみるのも良いかと思います。

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