Barros-Keiコラムとは?

フィリピンにおける裁判手続きや結婚手続きなどで多くの誤認情報をネットで見かけます。またフィリピン人からの古い口コミ情報を信じている人も沢山います。以前日本のかなり手広くやっている行政書士グループ会社ウェブサイトに、当社の文章を丸々パクられたことがあります。責任者にすぐにクレームを出し全て削除させました。たとえ肩書きが弁護士や行政書士であっても、日本にもフィリピンにも専門知識のない業者は数多くいます。しかし知識や情報を持っていない依頼者の方たちは、その肩書きを信じて頼るしかありません。そういう現状から本コラムが、これからフィリピンで何かアクションを起こそうとする方たちのために、少しでも役立つものになればいいと思います。また立派な肩書きを持つ人たちは、それに恥じないようもう少ししっかりと勉強してから情報を発信すべきです。そもそも知識や経験というものは、フィリピンに長く在住しているから自動的に得られるというものでは絶対にありません。同じようなレベルの人間としか交流がないのであれば、たとえ50年在住していようとも、濃い日々を過ごした人の1ヶ月にも及ばないことがあるのです。当コラムの目的はそれらを正し正確且つ最新の情報を伝えることにあります。
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2015年6月16日火曜日

フィリピンの養殖ビジネス/台風グレンダで頓挫した養殖業の現状視察(その一)

娘の学校が夏期休業期間(3月下旬~6月初旬)なので、4月23日から5月7日の15日間の日程で、家族で休暇を取りボラカイに旅行する計画を立てていました。

ボラカイと言えば西ビサヤ地方アクラン州です。このアクラン州にはボラカイとはカリボ空港を挟んで反対側に、漁業・養殖業が盛んなニューワシントンという地域があります。同地域出身である妻の母親(弊社の親会社副会長)が、その実家近くで親族に養殖業を運営させていました。しかし2013年11月の台風グレンダ被災でほぼ壊滅し、その後は放置状態ということなので、今後どうするのか私が視察してプロジェクトを立案することになったのです。

また後日記事にする予定ですが、たまたまこのタイミングでボラカイのビジネス調査を日本企業から依頼されたこともあり、養殖場視察、ビジネス調査、家族休暇の三つを兼ねて行くことになりました。

カリボ空港に到着して先ず感じたのは、韓国投資が想像以上に進んでいることでした。すぐに調査に入りたいという逸る気持ちを抑え、トライシクルで親族のバンカーボートが待つ船着場(ニューワシントン港)に移動、港のローカルマーケットには目もくれず速攻で乗り込みました。バンカーボートと言ってもモーター付ですので約15分で到着。ニューワシントンは陸続きの地域ではないこと、親族が住み養殖場があるのはその中のピナムカン島ということ、この地域には養殖池(Fishpond)が無数にあること、そしてこの地域はマングローブの汽水域であるということをGoogle Map & Searchで調べ初めて知りました。

ボラカイは今のように有名になる前の1998年と2001年に訪れていたので良く分かっているつもりでしたが、まだまだ地方には知らない場所が沢山あることを知りフィリピン恐るべしと思い知らされました。

3つの養殖池の内2つの間に浮かぶようにクボハウスがあります。クボハウス(Kubo House、タガログはBahay Kubo)はニッパ・ハット・ハウス(Nipa Hut House)とも呼ばれていますが、風通しが良いので海に面したこの場所では夕方から冷えてくるのでエアコン不要、しかし外見からは想像していませんでしたが、2BR(日本では2LDK)、温水シャワー付CRありという立派な内装でした。

義母の5親族がこの区域と対岸の区域に住んでおり、漁業、養殖業、農業(果樹&野菜)、養鶏、畜産を生業として生計を立てています。普段の生活で買わなければならないのは米と飲料だそうで、これは物々交換的な取引をしているということでした。

親族全部合わせると6ヘクタール以上の土地面積がありそのうちの2ヘクタール弱の土地を義母が購入し養殖池を作ったのです。養殖池は3つで合計1ヘクタール弱でした。義母の土地には15本のココナツ、22本のパイナップル、4本のアップルマンゴ、3本のグリーンマンゴ、その他カラマンシーやマルンガイ、モンゴ等々が成育していました。親族の土地は対岸の一つを除けば全て隣接(土地が広いので家屋同士は離れているが)、乳牛8頭、豚24頭、鶏約40羽を親族全体で世話しており、海上ではやぐらを組んだり網を仕掛けてカニ(ノコギリガザミ/マッドクラブ)やエビ(トゲサケエビやブラックタイガー)の漁、そして牡蠣養殖も行っていました。

また当自治体の環境保護条例によって車両乗入禁止になっていて、自家用モーターバイクのみ許可されている、従って移動は主にモーター付バンカーボート利用となっているのです。親族には合計3槽ボートがあり、1台は客船としてビジネス利用していました。12人乗のボートでニューワシントン港からの料金が一人150~300ペソと高額なのに驚き、持っている者勝ちの殿様商売なんだと思いました。

この滞在中私にとっては新鮮な果実を食べることが唯一の楽しみでした。特に椰子を取ってもらい割った実からスプーンで果肉をこそいで食べる、私はワサビと日本の醤油を持ち込んでいましたので、さながら刺身のように食べていました。味は全く違いますが一見握り寿司に乗っているイカのようでした。困ったのは、私が喜んで食べていると毎日食卓に並ぶようになったことです。これぞフィリピン人のおもてなしで多くの方が経験していると思いますが、さすがに毎日出てくると厭きます。それでも嫌な顔もできないので我慢して食べ続けた結果休暇の最終日にはもう二度と食べたくないと思うようになりました。

話を本題に戻しますがそういった場所で義母もさぞかし立派なプロジェクトで養殖業を運営しているのかと考えていましたが、数日間の滞在でフィリピン事業で発生する一般的な問題、管理のずさんさが際立っていることが判明しました。管理は義母の兄が担っていたのですが、彼は昔気質の漁師なのでそれを聞いた時点でマネージメントできるはずがない、また義母は資金を出したら後のマネージメントは人任せというスタイルなので問題発生の環境が当初から整っていた、そして管理者は元々能力的に無理な上に台風被害を受けたことで意欲も失った、という状況であることが分かりました。

折角マーケットへの販売ルートが確保できているのに、養殖業を再建しないのは勿体無いと考えたのと、いっそのこと新規事業を行うのもアリかなとも思えたので、それらの可能性を会社に戻ってから話し合いました。

養殖池の現状:
  養殖中?(但し餌料を与える以外は放置状態。気が向いたら自分たちで食べる)
   バゴス・・80尾以上(稚魚はカウントできず)
  紛れ込んでいる稚魚(指摘しても無関心だった。カニの餌か)
   太刀魚(エスパーダ)・・50尾以上
   ウナギ(ベイビーイール/ビカーラ種)・・30尾以上、
   ハゼ類(カウントせず)
  その他(カニ)
   ノコギリガザミ・・稚ガニを含め推定80匹以上
   ヤエヤマシオマネキ・・稚ガニを含め推定150匹以上


皆さんだったらどんなアイデアを提起しますか?

続く

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