前回掲載記事の通り日本企業からの依頼でボラカイのビジネス・マーケティングを行うため、4月23日から5月7日の15日間アクラン州に滞在し、その間に3泊4日で2回ボラカイ島に滞在し現況調査を実施しました。
日程は4月23日NAIA-T3からセブパシフィック利用でカリボ空港、
当日は義母が放置しているニューワシントンの養殖場に一泊、
翌24日から27日までボラカイ島に移動し現況調査、
27日から5月1日までニューワシントン、
5月1日から4日までボラカイ島、
4日から7日までニューワシントン、
というニューワシントン・ボラカイ間を往復しただけという感じでした。
ボラカイに向かうのには、ニューワシントンからカリボに出てバンのターミナルに行きました。このターミナルには韓国資本の旅行会社、その会社が運営する輸送サービス、ボラカイのホテル、が三位一体という感じでパッケージとして提供されていました。バンは18人乗りでHyundai(現代自動車)と「K」ブランド尽くしで徹底されていました。
約45分間のフィリピン人運転手お決まりの乗客の安全無視・恐怖ドライビングで、カティクラン・ジェティ・ポート(Caticlan Jetty Port/Jetty Portとは港桟橋のこと)に到着。ボート乗船で約20分弱、ボラカイ・ジェティ・ポート(Boracay Jetty Port)到着。電動コミューターでDモール(d'mall)、徒歩でホテルにチェックインという行程でした。
有名ホテルに直行する宿泊客は別にすれば、ボラカイ・ジェティ・ポートからコミューターで来る観光客の殆どは、このDモール入り口となるクラフツ・オブ・ボラカイ(Crafts of Boracay)というスーパーマーケットのビルが乗降のランドマークになっていました。
このビルは実質韓国資本の商業ビルで韓国人客は殆どがこのビルの前で降車します。
ホテルは最初はシャングリラやサーフサイドあたりのホテルをネット予約しようと考えましたが、クライアントのビジネスターゲットとは明らかに違っていることから取り止めました。
Dモールとステーション2の間に2~3スタークラスのローカルホテルが無数にあるので、予約せずに当日飛び込みで交渉に回り、築半年で4人一部屋1,400ペソの好条件のホテルを、我々一向は全員で8名だったため2部屋取ることで落ち着きました。
ボラカイは2001年以来の訪問だったので、事前に近況をWebサーチし、韓国人カップルの海外ハネムーンや、家族のリゾート旅行先になっていることは想定内でしたが、それ以上にボラカイが韓国人の町と化していることに驚きました。
14年でここまで変わるのか…私には自然破壊が進行したとしか見えませんでした。
ちなみに2001年7月当時のホワイトサンドビーチはこんな感じでした。
アングルは違いますが今はこんな感じ。
ボラカイという島名があまりに有名になったためご存じない方も多いと思いますが、アクラン州マライ自治体内にある島の呼称であって住所とは違います。ボラカイは、マノク-マノク(Manoc-Manoc)、バラバグ(Balabag)、ヤパク(Yapak)という3つのバランガイから成る島なのです。観光客が集中するホワイトサンドビーチはマノク-マノクとバラバグにまたがる砂浜です。この2つのバランガイはすでに韓国資本によって制覇されているように見受けられました。
ヤパクは現在も貧困層階級の町ですが、これからビジネス進出を検討するなら狙い目かもしれません。
というのは皆さんご存知のマニラ・オーシャン・パーク&H2Oホテルのディヴェロッパーである、Seven Seas Properties,Inc.がこのヤパクのプカ・ビーチ(Puka Beach)に、Seven Seas Boracay Hotel & Residencesというリゾートホテルを建設中だからです。
Seven Seas Propertiesは中国系企業で、開業当時どうしようもなくアホな運営をしていたマニラ・オーシャン・パーク事業に参入、現在そこそこの集客がある施設へと変貌させています。ヤパク住民の反対運動がありますが、リゾートホテルが完成すれば地域にも有形無形の恩恵を齎すものと考えています。こうした発展が見込まれる地域に便乗したビジネス戦略があるのです。
ホワイトサンド・ビーチのエリアに戻りますが、バーやレストランが乱立している様子は、無計画に海の家を乱立させていた一時の湘南海岸を思い出してしまい、見た目にとても気分の良いものとは言えませんでした。店舗とビーチの間は通路になっていますが、人が多すぎてすれ違うのもぶつかるのを避けながらの歩行になり、人と肩が触れ合うことを嫌がる日本人には不適です。(もっともモールなど、どこに行ってもそうですが)
この各3泊4日の2回に渡る調査の結果、クライアントのボラカイ進出に見合うコンサルティングができました。ここではその詳細をお伝えすることはできません。しかしボラカイへのビジネス進出を考えている人のために、ほんの一部ですが押さえておきたい情報を紹介します;
1.観光客の30%は韓国人、60%がフィリピン人、残りは中国人、東欧/北欧人も多い。
2.外国人観光客の推定平均年齢28歳(児童は含まず)。
痛いオヤジ系は探すのが大変な程見かけない。
3.日系(日本料理・ラーメン店、ダイビング)は苦戦or閉店。
価格は同レベルのマニラにある店と比較して約20%高。
4.中華料理系・焼肉系は苦戦or閉店。
価格は同レベルのマニラにある店と比較して約10%高。
5.集客力のあるフードビジネス
・SUBWAYなど味が確かなファーストフード
・アイスクリーム、ワッフル、クレープなどスイーツ系
・グリル系レストラン
・ポテト系・BQQ系の屋台(カートフランチャイズ)
価格は同レベルのマニラにある店とほぼ同じ。
6.ダイビング・ショップ運営は団体客招致能力があれば可能。
価格はバタンガスやセブよりも高い。
7.バーやカフェは競合店との差別化が必須。一時流行ったミルクティー系は苦戦。
集客力のあるバー・カフェ
・アトラクション系
・スポーツバー系
・コーヒーフリーク向けカフェ
価格は同レベルのマニラにある店とほぼ同じ。
8.土地の相場価格はビーチフロントで1平米あたり1万2千~2万ペソ、
ビーチフロント外では1平米あたり7千~1万ペソ。
しかしビーチフロント外はその相場の半分程度の価値しかなくビジネスには不向き。
ビーチフロントは高いので原資回収期間持ちこたえるだけの資本力がなければ無理。
9.パラセイリング、サーフィン、ウインドサーフィン、ヨットなどの
マリンスポーツ事業は良好。ただし乱立しているため客引きに必死。
トレンドになっているパラセイリング利用料金は15分1,500ペソが相場。
他の利用料金はバタンガスやセブよりも高い。
ヨットの帆などに入る広告は有名企業が殆ど。
広告料は月8,000ペソと日本人がマニラでやっている広告料と比べ格安。
10. 韓国資本での運営がマリンスポーツでは70%、
フードビジネスで50%、ローカルホテルで30%、
旅行代理店・輸送ビジネスで30%、スーパー20%、
お土産・ファッション・ブティックで30%を占めている。
韓国資本で運営されている事業の従業員たちは
コスパで差をつけるため比較的待遇を良くしている。
調査を続けながら感じたことは、ホワイトサンドといっても感動するほどきれいではない、当てにならないランキングは無視して、格で言えば沖縄の方が断然上である、観光客はメディアに踊らされているだけかもしれない、というネガティヴなことばかりでした。
今回のマーケティングはヒアリングが中心でしたが、コミューター・ドライバー、観光案内所スタッフ、レストランやバーのオーナー/スタッフ、3つのバランガイ長/観光開発委員、ホテルマネージャー、セキュリティ・サービス責任者、マリン・ビジネス・マネージャー、建設業者、漁師家庭の地域住民、外国人観光客、そしてフィリピン人観光客など多岐に及ぶ範囲で実施しました。
中でも私に最も協力してくれて、最高のソース元となったのが、韓国資本のマリン・ビジネス・マネージャーであるトンボイ(Tomboy)でした。彼(彼女)はカレッジ卒だそうですが、さすが観光地で働くだけのことはあって、英語のキレと笑顔は抜群でした。
私のことをずっと韓国人のビジネスマンだと思っていたらしく、日本人だと言うと少しガッカリしたような表情を浮かべていました。そこでその理由を聞く代わりに外国人観光客の評判について尋ねました。
ここマライ(地元の人間はボラカイとは余り言わない)では、韓国人の特にビジネスマンたちは非常に評判が良いが、日本人はボラカイに来ても高級ホテルにいるだけであまりビーチには出てこない、プールで泳いでいるみたい、ともっぱらの評判だそうです。また日本人の殆どは40歳後半から60歳くらいの人たちばかりで、たまに見かける若い日本人はマナーが悪く言葉も分からないのであまりボラカイ向きではないと思う、東欧/北欧人は大騒ぎするのでどちらかと言えば嫌われている、中国人はあまりレストランには出かけないけど、ショッピング好きなのでショップでは歓迎されている、という話も聞けました。
他の場所でのヒアリングでも、何だ日本人か、というような歓迎しない態度も取られていましたので、国の評判も土地柄によりけりなのだと感じました。
注)当コラムの著作権は全てフィリピン法人Barros-Kei Corporationに帰属します。これらのファイルを許可無く複製、転載、流用することを禁止します。
Barros-Keiコラムとは?
フィリピンにおける裁判手続きや結婚手続きなどで多くの誤認情報をネットで見かけます。またフィリピン人からの古い口コミ情報を信じている人も沢山います。以前日本のかなり手広くやっている行政書士グループ会社ウェブサイトに、当社の文章を丸々パクられたことがあります。責任者にすぐにクレームを出し全て削除させました。たとえ肩書きが弁護士や行政書士であっても、日本にもフィリピンにも専門知識のない業者は数多くいます。しかし知識や情報を持っていない依頼者の方たちは、その肩書きを信じて頼るしかありません。そういう現状から本コラムが、これからフィリピンで何かアクションを起こそうとする方たちのために、少しでも役立つものになればいいと思います。また立派な肩書きを持つ人たちは、それに恥じないようもう少ししっかりと勉強してから情報を発信すべきです。そもそも知識や経験というものは、フィリピンに長く在住しているから自動的に得られるというものでは絶対にありません。同じようなレベルの人間としか交流がないのであれば、たとえ50年在住していようとも、濃い日々を過ごした人の1ヶ月にも及ばないことがあるのです。当コラムの目的はそれらを正し正確且つ最新の情報を伝えることにあります。
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