Barros-Keiコラムとは?

フィリピンにおける裁判手続きや結婚手続きなどで多くの誤認情報をネットで見かけます。またフィリピン人からの古い口コミ情報を信じている人も沢山います。以前日本のかなり手広くやっている行政書士グループ会社ウェブサイトに、当社の文章を丸々パクられたことがあります。責任者にすぐにクレームを出し全て削除させました。たとえ肩書きが弁護士や行政書士であっても、日本にもフィリピンにも専門知識のない業者は数多くいます。しかし知識や情報を持っていない依頼者の方たちは、その肩書きを信じて頼るしかありません。そういう現状から本コラムが、これからフィリピンで何かアクションを起こそうとする方たちのために、少しでも役立つものになればいいと思います。また立派な肩書きを持つ人たちは、それに恥じないようもう少ししっかりと勉強してから情報を発信すべきです。そもそも知識や経験というものは、フィリピンに長く在住しているから自動的に得られるというものでは絶対にありません。同じようなレベルの人間としか交流がないのであれば、たとえ50年在住していようとも、濃い日々を過ごした人の1ヶ月にも及ばないことがあるのです。当コラムの目的はそれらを正し正確且つ最新の情報を伝えることにあります。
注)当コラムの著作権は全てBarros-Kei Corporationに帰属します。これらのファイルを許可無く複製、転載、流用することを禁止します。

会社ウェブサイト   Facebook公式ページ    Twitter公式アカウント

2014年2月26日水曜日

フィリピン離婚承認裁判/情報に振り回される人たち

安易に信じてはいけないネット情報フィリピンにおける離婚承認裁判についてネット検索すると、違法行為や誤報で溢れかえっていて、どれが真実か判断出来ない人も多いと思います。またさらに始末の悪いことには、ブログだけでなくYahoo!知恵袋などのQ&A系サイトでも、かなりいい加減な情報が掲載されていることがあります。

昔の情報のままアップデートできていない人が多いのですが、中には『うちでは裁判をやらずに済ませることができる』と、堂々と不正を行っていると宣言しているブログや、『殆どの人が知らない方法がある。そのやり方なら再婚できる』など、フィリピン国内での合法手続を無視しているようなものもあります。

以前の記事でも触れてきましたが、日本の常識、モノサシで考えることではないのです。合法的というものがどういう意味なのか考えてみてはいかがでしょう?
偽造文書や不正手続が横行
現在、国家統計局(NSO)では離婚承認裁判に於いての不正手続で、中央ルソン地方やカラバルソン地方にある地方裁判所(RTC)数箇所で、頻繁に偽造判決文使用で不正登録が行われている事実を掴んでおり、それらの地方裁判所と地方民事登録局(LCR)を要注意のウォッチリストに入れ注視しています。

提訴状や判決文、審決証明には特別訴訟番号が必ずあるので、その番号から偽造であることが簡単に判明するのです。

当社で調査した案件では特別訴訟番号が離婚承認裁判のものではなく、他の事件番号を使っていて、裁判官も離婚承認裁判担当ではない人物名と署名がされていました。この不正を暴いたことによってその地方裁判所の行政官1名、そして地方民事登録局行政官と職員3名が懲戒免職となっています。

またそれに関わった業者は、日本大使館周辺にタムロするフィリピン人ですがすでに逃亡しており、日本人スタッフもいたというオフィスはすでに閉業しています。

しかし離婚承認裁判を必要とするフィリピン人は増え続けているため、同じ被害を受ける人の数も減ることはないのではと危惧しています。
そもそも離婚承認裁判はいつ始まったのか
フィリピン国内でこの裁判手続が初めて取り沙汰されたのは、私の記憶では2008年3月のことになります。

この問い合わせは日本国内で離婚したフィリピン人が、大阪のフィリピン領事館にて別な日本人と結婚するために婚姻要件具備証明書を申請しようとしたところ、本国での裁判判決文と審決証明を求められたことからでした。

当時フィリピン国内では離婚承認裁判自体判例がなく、殆どの人は婚姻無効裁判(アナルメント)でそれを解消していましたので、当社でも合法的に行うことを前提でアナルメントをお勧めしましたが、その時は問い合わせだけで話は終わっています。
その後1年間で問い合わせが増加それから2009年2月までの1年間で同じような問い合わせが7件続きました。また2008年3月頃に始まり2012年10月末までの間に、駐日フィリピン大使館・領事館では数回に渡りこの件に関し迷走しています。

フィリピン人離婚者で本国での裁判手続を行っていない人に対する婚姻要件具備証明書の発行をオープン/クローズしています。酷いのは大使館でOKなのに、領事館ではダメ、またその逆であったり、1回目の離婚に限ってOKとか、担当職員によって受理不受理があったり、申請必要書類も担当職員によって言うことが違う等々、いかにもフィリピンらしい本当に見事なまでの迷走ぶりでした。

それが2012年11月になってやっと大使館・領事館ともコンセンサスがとれたようで、現在までは本国での離婚承認裁判を経た上で再婚可能となる方式になっています。

従ってこの2012年11月以降のことしか知らない人が、この時期から離婚承認裁判を行うようになったと勘違いしていて、現在まで判例がないというようなブログを見かけましたが情報不足ですね。当社では2009年9月に離婚承認裁判をスタートしています。
対訳を離婚承認裁判と名付け当社業務に加える
2008年10月から当社で3ヶ月間かけて民事登録局を中心に行政機関を回って調査したところ、地方裁判所での民事裁判「Judicial Recognition and Enforcement of Foreign Divorce」という特別訴訟がそれに該当することが判明しました。事件名が長いので「Recognition of Foreign Divorce」と略して、弁護士や判事、検察官は呼んでいました。当社では「RFD」と呼んでいます。そこで私は業務とするため「離婚承認裁判」と対訳を付けサイトに掲載しました。

その当時は「離婚裁判」とか「離婚認知裁判」と訳しているサイトがありました。また日本大使館でさえも「離婚認知裁判」としていました。これはRecognition=認知からきていると想像できますが、日本人がその単語から想像するものとしては、しっくりこないので私はあえて「承認」を使いました。現在殆どの人が使っている「離婚承認裁判」の対訳を使ったのは私が最初なのです。

ちなみにRecognitionは認知という訳語もありますが、フィリピンではそれは子供の認知に使いません。ご存知の方も多いと思いますが認知にはAcknowledgmentを使いますよね。

また正式裁判用語「Judicial Recognition and Enforcement of Foreign Divorce」も「海外離婚の司法承認及び執行」と対訳を付けました。

それから離婚承認裁判を【Recognition】リコグニションとフィリピンでは呼んでいる、という間違った情報を伝えているサイトもいくつかありますが、それは大使館周辺で非合法手続によって裁判をやらずに婚姻証明書の左側に
『証明書番号・・・・に従い・・年・・月・・日付日本国・・・・長発行の戸籍謄本に基づく離婚証明書により・・年・・月・・日、離婚が成立した』
というマニラ市民事登録局文書管理課主任の認証を付与している業者が呼んでいるものです。

本来これは裁判が終了し審決証明交付がないと出来ない手続なのですが、金を積んでこの違法手続を行っている業者がまだ沢山いるのです。これでは翻訳文面を読んで分かるとおり裁判を行っていないのは明白ですね。

裁判が終了し最終的にNSOに登録されると左側の認証だけでなく右側にも
『原告・・・・及び被告・・・・の婚姻に関する海外離婚承認裁判の申立は、特別訴訟番号・・・・に基づき・・・州・・・第・・司法区・・支所地方裁判所裁判官・・・・により宣告された・・年・・月・・日付命令に従いここに承認されるものとする』
という認証文面が入ります。

こういったさして難しくもない翻訳すら出来ない業者が、何でも知っているような顔をして営業していること自体も問題です。そしてこういう業者が不正を繰り返しているのです。

この
左右の認証が注釈として付与されることを以って離婚承認裁判の全手続が完了するのです。最初の離婚承認裁判当社での最初の離婚承認裁判依頼客は2009年9月でした。原告はマニラ市役所で婚姻登録をしていたので、マニラ市の首都圏裁判所法廷(Metropolitan Trial Court)で行いました。裁判所はマニラ市役所とマニラ選挙委員会の間に位置し、LRTのCentral Terminal駅の向かいにある、行政監察局(Office of the Ombudsman)ビルと同じ入口から入ります。

話が逸れますが、この行政監察局のオンブズマン(Ombudsman)というのは、日本にある市民オンブズマンとは違います。検察のようなもので特に大きな不正事件の取調べを行うところです。当社の原告公判期間中にフィリピン史上最悪の汚職犯罪人アロヨに関わった大物たちがここに出頭するのを何度も見かけました。
離婚承認裁判は裁判官の無知により暗礁に
原告の公判では裁判官が日本の離婚制度に不快感をあらわにし、署名捺印だけで離婚できる法律を証明する文書を在比日本大使館認証を取って提出するように求めました。私は証人喚問で法廷に立ちましたが、証言内容を裏付ける文書を日本大使館認証を付与して提出しろと言われました。私はその証人喚問の時に日本国法務省サイトに民法の英訳が掲載されているので、そのコピーと日本の某市役所サイトにある離婚手続英語ページのコピーも証拠物件として提出しURLも明記の上ネットでの閲覧を求めたのですが、日本大使館認証がなければ受け付けないと却下されました。

その裁判官が求めたことを日本大使館に伝え認証の可否を尋ねましたが、当然ながら「自分の国の法律を認証しなければならない大使館は、世界中どこを探してもないはず。裁判官が大使館に問い合わせるなら対応する」との答えをもらいました。
裁判官は選べないのでダメなら裁判所を変えるしかない
その答えを持って次の公判に臨みましたが裁判官の主張は変わらず、このままではいつまでたっても終わらないので弁護士に提訴取り下げをさせ、違う地方裁判所に提訴することにしました。(これは裁判所漁りに該当するので合法的手続を行わないと犯罪になります)

裁判官が特に女性の場合は要注意で自分の主義主張を絶対に曲げようとしません。しかしこれは主にローマンカトリックの敬虔な信者で、教会と何らかの深い関係を持つ裁判官にはよくあることなのです。教会は何と言っても離婚や婚姻無効には反対の立場ですし、こういった裁判を行うのは再婚目的であることを彼らも分かっているのです。つまり女性裁判官の視点としては原告の節操のなさを許せないのですね。

話を戻しますがこの時点で7ヶ月が経過しており、当社の離婚承認裁判顧客も他に4名いました。顧客も当社で指定したEx Parte制度のある地方裁判所で公判をしてくれたので、1日の出廷で終了し早い人では全手続が8ヶ月で終わった人も出てきました。(現在は手続が厳格化の傾向にあるため1年から1年半はかかっています)

そこで再提訴顧客も同じ裁判所で行うことにしました。裁判官も前顧客と同じでしたので彼(男性裁判官)も要領を得てきたのか、判決までも早く全手続は最初の提訴期間を入れても1年半で終了しました。

こうやって2010年の末には全ての手続を理解しました。もちろん離婚承認だけでなく他の裁判手続も含めての話です。そうでなければフィリピン国際法務の専門家とは言えませんよね。また現在は手続が次第に厳格化し長くかかるようになったため、期間を合法的に早める方法を駆使したり工夫を怠らないようにしています。
ネット内情報の信憑性
ネット内の情報を拝見する限りでは、フィリピン国内の離婚承認裁判手続を熟知している人は殆どいないようです。中に数名正しい情報、合法的情報を伝えている方がおりますが、残念ながら聞き手側が真偽の判断ができていないという問題があります。さらにQ&Aサイトなどでは自分の情報が間違いであることを受け入れず、正しい情報提供者を誹謗中傷しているのも見かけました。

当たり前ですが掲載されている情報のほぼ100%が、フィリピン人弁護士やその関係者のソースであってその人自身のものではありません。情報提供はマーケティングリサーチにも共通することですが、何と言っても情報のソースがどこからなのかが重要なのです。

また、日本大使館に聞いても分かる人はいませんが、彼らは分からないとは言えませんので「内政干渉になるので教えられない」という返答しか出てきません。フィリピン行政関係者でも自分の仕事に関する情報しか持っていません。総合的把握をするためにはその情報を一つ一つ繋ぎ合わせなければならないのです。

フィリピンに於ける裁判手続の7、8割方理解できていて正しい説明ができる日本人は、フィリピン国内には2、3人しかいないと思います。何故ならばフィリピンに於ける裁判はビジネス英語が問題なく出来て、法律用語を熟知し、公判傍聴し、全ての行政手続に足繁く通った人だけが理解できるからです。


2014年2月24日月曜日

フィリピンOFWが帰国してから始めたマイクロ&スモールビジネスの成功サンプル

フィリピン人海外出稼ぎ労働者(Oversea Filipino Workers - OFW)が外貨を稼ぎ、帰国してから始めたビジネスについてその成否を当社が依頼を受けリサーチしたことがあります。そのデータから女性の元OFW(メイド、ベビーシッター、ホステス)たちが始めたビジネスで、成功していると当社が判断したサンプルについて抽出し列挙します。

手芸・家内工業系

室内装飾品&オーダーメイドカーテン製作、アクセサリー&バッグ製作、ギフト雑貨製作、洋裁&伝統刺繍、子供服・スクールユニフォーム製作、伝統木工品製作、木製家具製作、靴製造、医療用靴&制服製造、プリントTシャツ製作、石鹸・洗濯洗剤製造、惣菜製造、フィリピン菓子製造、ブラウニーケーキ製造、ピーナツ&ガーリックチップ製造、ジンジャー・ティー製造、パパイヤ・ニンジン等のピクルス製造、純ココナツ油製造、魚肉野菜加工、建築塗装、家電修理、厨房器具修理、クリスマスライト&装飾品製造、装飾キャンドル製造、キルト用品製造、絵画制作、室内スリッパ製造、飲料水製造

モーター関係製造業&整備業系

サイドカー製造、自動車部品販売&整備、自動車塗装

フード店系
コンジー&マミ(中華風粥とスープヌードル)、カフェ、バー&レストラン、食品店(グローサリー)、食堂(カンティーン)、ケータリング

農畜産・水産系
有機野菜栽培・蜂蜜製造、養殖漁業

レンタル系
浄水器レンタル、カラオケ機材&サウンドシステム・レンタル、レンタカー

その他
薬局、美容室、スパ&マッサージ、歯科・内科クリニック、リゾート民宿、音楽プロデューサー、家庭用品販売特約店

成功している要因としては、
1.自身の能力をしっかりと把握していること。
2.必要資格取得やセミナー受講に時間や費用をかけてから、無理をせず最低限の資金で始めていること。
3.事業拡張や多角化するため途中で新たな資格取得をていること。
4.コミュニティ・ビジネスに成長させるために地域や省庁の協力を得られる人徳があること。
5.優れたビジネスパートナーに恵まれたこと。
が主なものとして挙げられます。


一方、日本人も含む外国人がビジネス未経験のフィリピン女性若しくはその家族にビジネスをさせるために出資するパターンとしては、レストラン、カフェ、タクシー・FX・バン・ジプニー・トライシクルのオーナー、カラオケバー、スパ&マッサージ、美容院、ブテック、サープラスショップ、語学学校、養豚、養鶏、養殖漁業、インターネットカフェ、コンピュータショップ、ベーカリーショップ、中古車業、フォトショップ、カートフランチャイズがあります。

成功確率はデータとしては持ち合わせていませんが、殆どが失敗しているものと考えます。何故失敗するのか?それは資質、素養がない人間にやらせるからです。

その資質・素養とは自分たちが本当に豊かになりたいと思い真剣に取り組む姿勢です。失敗するフィリピン人にはそれが全くありません。楽をして人よりもお金を稼ぎたいという姿勢しか持ち合わせていませんし、失敗してもどうせ外国人が助けてくれるとタカをくくっています。また出資する方も生活に困らない程度に稼げればという考え方が多い。出資する方もされる方もそういう考え方であればすでに失敗しているのと同じことです。

見極めをしたいのであればサリサリかカンティーンでもやらせればいいのです。あるいは少ない数での養豚や養鶏でもいいでしょう。マネージメント能力の有無は3ヶ月程度ではっきりとします。もし失敗したのであればビジネスをやらせようとは二度と考えないことです。

注)当コラムの著作権は全てフィリピン法人Barros-Kei Corporationに帰属します。これらのファイルを許可無く複製、転載、流用することを禁止します。 

2014年2月23日日曜日

フィリピンでのフードビジネス・コンサルティング(その参)

今回は開業・運転資金、内外装、販促活動、開業後のマーケティングなどについて、フィリピン人オーナー客のレストランを例に挙げ述べさせていただきます。尚このテーマはこれを以って最終回とします。開業までの資金と開業後の運転資金のバランス運転資金は経営が軌道に乗るまでの期間又は撤退するまでの期間で考えます。それを判断するのは既述の通り半年間としますが、撤退する場合にも備え、その1ヶ月前には閉業経費を計算し資金を蓄えておきます。従って運転資金は半年間売上がなくてもランニングコストを維持できる、そしてそれに閉業資金を加えたものとします。ただし半年間は目安であってオーナーの意向や、レストランメニューによってその設定は柔軟に変えていく必要があります。想定以上の成果を収めたフィリピン人オーナーの日本食レストラン当社のコンサルティングを依頼したフィリピン人オーナーの例を挙げますと、彼はそれまで中古車販売&洗車業の店舗を経営していましたが、日本食、特にラーメンや丼物が好きなので、店舗を閉め日本食関係のレストランをやりたいと2011年10月に相談してきました。そこで当社マーケティング&コンサルティングにより2012年3月に開業に漕ぎ着けました。

メニューや内外装、従業員雇用についてはオーナーの強い意向で彼の主導で行いました。ターゲットはフィリピン人アッパーミドル層を中心としました。しかし業務契約内容から当社でサジェスチョンできる部分ではなかったため、味の問題については解消されていないまま開業となりました。

つまりTOKYO TOKYOやRAI RAI KENなどのような、日本食モドキ・レストランが出しているものと何ら変わりばえしませんでした。まともな日本食を作れる料理人を雇用すべきとはアドバイスしましたが、人件費面で難しいということで見送ったのです。
店舗は一番乗りではなく和食レストラン敗退の地レストランは中古車販売&洗車業店舗を取り壊し同じ土地に3階建ビルで建設しました。メトロマニラの中心部から外れた都市のローカル色の強い場所で、優位点は幹線道路沿線、近くに小中学校や病院、マーケットがあるという程度でした。店舗から2キロ以内にRAI RAI KEN、KITARO、TERIYAKI BOY、そしてSUSHI BARの4店舗がありましたが、見事に廃業していることも判明しました。最終コンサルティングに従い営業開始これらの条件からオーナーには次の内容のコンサルティングを伝え了承してもらいました。

1.オーナーが考える価格を下げる。
2.メニューはラーメン4種、カツ丼、中華丼、親子丼、
  チャーハン2種、餃子3種、オムライス2種、チキンライス、
  定食メニューでハンバーグステーキ、豚カツ、
  チキンカツ、焼肉、エビフライ、フィッシュフライ、
  その他当社オリジナルの日比フュージョンメニュー3種とする。
3.上記2の中から麺スープ系以外をテイクアウトメニューとしても提供する。
4.デリバリーは絶対に行わない。リスク管理やコストの観点からテイクアウトで十分。
  その分テイクアウトの容器にコストをかけイメージアップを図る。
5.3ヶ月間はスタッフ教育に集中する。
6.駐車場が狭いので路駐も含め誘導スタッフを1名常駐させ
  客からのメニュー等の質問に対しマネージャーレベルで接客トークできる教育をする。
7.食材品質を維持し、料理人には毎月研修を行い味の向上に努める。
8.毎月1回新作メニューをアンケート記入を条件に無料提供しその反応をデータ化する。
9.店内にCCTVカメラを設置し顧客&スタッフ行動をモニターする。
10. 10ヶ月間は売上が低くても耐える。
この方針で2012年3月1日に営業を開始しました。
開店から5ヶ月間は苦戦想定通り2012年8月上旬までは非常に低調で苦戦していましたので、その後1ヶ月間当社とレストランスタッフ共同による販促活動を行いました。そして2012年10月中旬にオーナーからこの2週間連日大盛況であると報告を受けました。そこでオーナー以下スタッフが気を抜くといけないので、フォローアップのマーケティング実施と同時に、接客サービス再教育、メニュー見直しを徹底しました。

この盛況に火をつけたのは現在も続いているラーメン&豚カツブームでした。折りしもラーメンや豚カツの日系レストランが次々と参入してきた時期に重なっており、販促活動により店舗地域の人々が情報をネット拡散したり口コミしてくれたことも功を奏しました。

日本食は興味本位でモドキ・レストランに行くくらいしか殆どのフィリピン人は知らないし、その味も彼らの口に合わない中途半端さがある。エルミタやマラテあるレストランは地域の危険性の問題から、まともなフィリピン人富裕層やアッパーミドル層は行かない。マカティのリトル東京とその周辺は日系企業勤務の日本人や在留邦人ばかりで入り辛い。

従ってこの店のコンセプトは地域の人々のための和食入門的レストランと設定。人件費・経費の垂れ流しを防ぐため、週6日営業、時間を11時から14時、17時から21時の2部制としました。

その成果は40名客席の1時間稼働率は11時~14時で50%、17時~22時は95%。客の平均滞在時間はオーダー受注後からの計測で50~60分。入るのを諦めた客はテイクアウト注文するのですがこの売上は全売上の10%。一日の顧客数約250名+テイクアウト約15名で一日の平均売上5万ペソ。月の粗利益は75万ペソ、人件費や光熱費等の諸経費などを差し引いて50万ペソ。オーナーもまずまず満足できる成果を上げることができました。

建設費も含めた投資金額は約800万ペソだったので、彼には営業時間を長くしたりスタッフを増員したりしないで維持していけば、減益シーズンを計算に入れても2015年2月までに投資総額を減価償却出来ると伝えました。減価償却は3年と設定していましたのでこのブレークは想定外の嬉しい結果でしたが、味を占めたオーナーは本年1月に新たなビジネスとして、リゾート&ホテル開業のマーケティング業務を契約してくれました。一つの成功は次のビジネスを生むというのがフィリピンに於ける当社ビジネス戦略の一つですが、この店も類に違わず良い連鎖を生んだ成功例となってくれました。
まとめ当社のレストラン開業までの業務内容をまとめると、以下のようになります;
1.基本戦略&コンサルティング
2.マーケティング&コンサルティング
3.マーチャンダイジング・コンサルティング
4.オペレーション・コンサルティング
5.スタッフ・コモンセンス教育
6.サービス・アプローチ教育
7.セールス・テクニック教育
8.トラブル・シューティング教育
9.インテリア&エクステリア・コーディネート
10. テーブル・セッティング&テーブルマナー教育
11. ディスプレイ、ライティング&リネン・コーディネート
12. カメラマンによるフードメニュー撮影
13. 販促活動(WEB、紙媒体、販促グッズ)サポート
14. 顧客&スタッフ行動データ&アンケート分析
15. 定時研修サポート
16. 定期マーケティング&コンサルティング
開業後のサポート第一は販促活動です。これはホームページ、Facebook、Twitter、広告サイトを含めたWEBプロモーション、フライヤー(チラシ)プロモーションやフリーペーパーなどの紙媒体広告利用、試食と販促グッズを組み合わせたプロモーションを中心に考えます。

第二に顧客&スタッフ行動の行動分析とアンケート分析です。一人一人の行動を見逃すことがないように、オーナーにはCCTVカメラシステムを導入してもらいます。アンケートも顧客だけでなくスタッフにも実施しテンプレートでデータ化していきます。そしてデータ分析に基づきコンサルティングを行います。またマーケティングは開業後も重要なので必ず定期的に実施していきます。盛況・不振の如何を問わず地道な作業ですが飽きずに続けることです。軌道に乗ったところで満足・安心してしまうと上昇志向が止まります。上昇停止の次に待っているのは転落開始ということを忘れてはいけません。
ビジネスに再チャレンジする人のために過去に失敗した人であっても再チャレンジを考えているのならば、何故失敗したのか検証することを怠ってはいけません。それがフィリピン人に任せた結果の失敗であっても、その人間のせいにして終わらせてしまうのではなく、任せたこと自体が自分の失敗として受けとめて検証するべきです。必ず見えてくることがあります。事実は変えられないのです。自虐的にならず冷静な気持ちで客観的に検証して下さい。そうした努力が新しい計画に活きてきます。地道な努力を継続出来る人には必ずチャンスが訪れるのです。

2014年2月18日火曜日

フィリピンでのフードビジネス・コンサルティング(その弐)

「その壱」ではプレ・マーケティングの基本戦略についてお話しました。今回はレストラン・ビジネス形態や店舗進出地について考えていきます。
(レストラン・フランチャイズやカート(屋台式)フランチャイズについては、オーナーが直接契約すれば済むことですので特にコンサルティング記事にしません。詳細を知りたい方は直接ご連絡下さい)


フィリピン・レストランビジネスの概要を知ること
始めにオーナーがビジネス知識として知っておくべき形態、市場シェア、エリア、将来性について述べていきます。

レストラン形態
先ず形態についてですが、ロンドンにある世界有数のマーケティング企業Euromonitor International Ltd.の最新調査によると、フィリピン全土の外食店舗数は約10万店、その内訳はフランチャイズ系が25%を占め、残り75%はインディペンデント(独立経営)系です。しかしこれらの総売上計上額では、フランチャイズ系が70%、インディペンデント系が30%となっており、フランチャイズ系が圧倒的に優位であることが分かります。

レストラン市場シェア
市場シェアで見ると、本格レストランが20%、ファーストフード25%、カフェ&バー25%、ホットドッグ、アイスクリーム、ドーナツ、ドリンク等単体商品販売のキオスク系が25%、テイクアウト&デリバリー系3%、その他2%です。この3年間の推移ではファーストフードとキオスク系がやや増加、本格レストラン系がやや減少、その他は変わらずとなっています。カフェ&バーは増加しているように思えますが、反面廃業している数も多いのでこのようなデータとなっています。

レストラン売上シェア
一店舗あたりの2012年の年間売上額ではファーストフード1,800 万ペソ、キオスク系200 万ペソ、市場全体平均では一店舗あたりの年間売上額は約440 万ペソです。フランチャイズ系企業別で見ると売上シェアは、Jollibee Foods Corporationが40%強と圧倒的強さを誇っています。それに続くMcDonald's Companyは10%以下に過ぎません。

またジョリビーは単なるブランドではなく、チョウキン(Chowking)、グリニッチ(Greenwich Pizza)、レッドリボン(Red Ribbon)、マンギナサル(Mang Inasal)、バーガーキング・フィリピンズ(Burger King Philippines)などを次々と買収し傘下におさめるアジアで最も巨大なフードビジネス・グループ企業の一つなのです。

フランチャイズ系はローカル系で70%が占められ外国企業ライセンスのフランチャイズ系は30%です。この数値でも日系を含めた外国系が苦戦しているのが分かると思います。日系の中ではミスタードーナツが一番の売上シェアですがそれでも約2.5%です。

つまりはジョリビーグループの一人勝ちで、私達が生きている内にこの序列が変わることは100%ないでしょう。

一方フィリピン国内の市場規模に目を移せば、2012年における外食市場は約3,700億ペソ、産業成長率は2005年の12%をピークに年々減少傾向にあり、人口が増加しているにも拘らずここ3年間は成長率1~2%に留まっています。


レストラン・エリア
次にエリアに関してですが、一般家庭(除貧困家庭)の約10%が、月世帯収入の約30%をNCRでの外食にあてています。その次に高率なのがCALABARZONとCENTRAL LUZONです。もしモールやショッピング街に出店を考えるのであれば第一選択エリアはこの3地域となります。

将来性のあるターゲットの特定
またターゲットを企業勤務の社員や学生とするのであれば、最も効率的に集客できる朝食、昼食、デザートにメニューを絞った戦略を取ります。これは学生たちの登校前/昼食時、そして社員たちの出社前/昼食時の外食率が増大しているからです。特にNCRでその傾向が顕著で約70%がその食事行動を取っています。

しかし一方ではそれ以外の時間帯での食事、特にレストラン系での食事となると、学生8%、社員6%が朝食・昼食以外で利用しているに過ぎません。日本人オーナーがこの点を十分に認識せずに、思い込みのコンセプトやメニューの優位性だけで出店すると間違いなく失敗します。日本とフィリピンではレストランニーズが全く異なるのです。日本のような居酒屋やクラブなどは、、まともな生活をしているフィリピン人には無用の長物でしかありません。

学生たちの登校前/昼食時、そして社員たちの出社前/昼食時で約70%を占める。学校や仕事が終われば家族が待つ家に帰宅するだけ。ここに日本人の大きな勘違いがあるのです。そして高すぎず安すぎず、毎日来店しても飽きない素材を活かしたメニュー開発が求められます。


市場としての将来性が著しく高くなるBPO進出エリア
市場の将来性としては、BPO産業の進出候補地である都市にそれを求めるのも一考の余地があります。

                   カビテ州バコール市(Bacoor, Cavite)、ラグナ州サンタ・ロサ市(Sta. Rosa City, Laguna)、バタンガス州リパ市(Lipa City, Batangas)、ブラカン州マロロス市(Malolos City, Bulacan)、ベンゲット州バギオ市(Baguio City, Benguet)、イロイロ州イロイロ市(Iloilo City, Iloilo)、ミサミス・オリエンタル州カガヤン・デ・オロ市(Cagayan De Oro City,Misamis Oriental)、などがBPO企業の参入によりこれから一層の発展が期待できる都市です。しかしながら主だったフランチャイズは既に進出を果たしているため、新規参入店は競合店との価格やメニューなどでの優位性を争うことになるでしょう。


この先はプロのコンサルティングが威力を発揮する
さて必要知識が理解出来たところでこの先はコンサルティングになります。しっかりとしたマーケティングを行いエリアが決まったら、具体的な出店計画を考える段階になりますが、一番重要なことは何を基準条件に決めるのかということです。

優位性が非常に高い自費店舗建設
レストランなどの経営が未経験の人は、出来ればこれは最初の基本戦略を練る段階で安易にテナントのレントと決めてしまうのではなく、小規模であっても立地を購入し店舗建設の方向を模索するのがベストです。規模が小さければ当然少人数で開店できます。しかしこれは優位性に繋がることなのです。スタッフを家族だけで始めることもできます。居住も出来るものを建設すれば移動する必要もなくなりますし、仕込みや閉店後の清掃なども楽になります。スタッフを外部雇用するのであれば、開店まで半年近くはスタッフ研修をしなければなりません。家族ならばこの期間を半分以下にすることが出来ます。その中でマネジメント能力がある家族の見極めをすればいいのです。特に開業して半年くらいはそれで対応していきます。

テナントを賃貸する場合は慎重に
テナント物件を借りる場合は以下の点に注意します。

1.営業権付きの物件には絶対に手を出さない。
主にマラテやエルミタの繁華街物件になりますが、営業が立ち行かなくなった店主が営業権を売ると言って話を持ちかけてくる場合があります。物件自体のオーナーは別なので物件を賃貸している身分のくせに、好立地をエサに営業権買取を吹っかけてきます。これは営業権転売ビジネスと言ってこの最悪エリアでは騙される人が続出していますので、オイシそうな話があっても絶対に相手にしないことです。儲かる確信があるのならばお前が自分でやれという次元の低い話です。

2.建設中のコンドミニアムへの居住者客などをあてこんだ周辺テナントやモール付きコンドミニアムのテナントはスルーする。
フィリピンのコンドミニアムは投資ビジネスであり居住するものではありません。登記期間中の納税前に販売できれば大きな利益になりますが、売れなければ賃貸にまわすしかありませんが借り手優位市場になります。このコンドミニアム投資バブルもあと2年ほどで終焉を向かえ、完成したコンドミニアムは借り手も付かずゴーストマンション化していきます。借り手をつけるために賃貸料を下げれば居住者の質が悪化します。悪党の巣窟化となることも有り得るのです。そのような場所にでも出店するのは騙されやすい日本人だけです。

3.モールブランドに騙されない。立地が悪いテナントなら断る。
たとえ高級モールであっても簡単には出店許可審査は通りません。人脈がなければ何年も何箇所もまわってもなかなか許可してもらえないこともあります。そして許可が出たと思ったら客の動線がない悪条件であったりもします。自分の戦略に自信を持っているのならば無理に悪条件の中に出店する必要はありません。条件が悪いところは断るという勇気もオーナーの資質なのです。出店したいモールがあれば店舗状況を常に観察しておくことです。悪立地のテナントはすぐに潰れています。そして閉店直後に「SOON TO OPEN」の案内が貼り出されています。条件が悪いところはこれを繰り返しているのです。

4.居抜き物件の賃貸はメリットとデメリットを考慮し、できれば手を出さない。
居抜きは上記のような営業権付き物件でなければ、コストが比較的安く済み短期間で営業開始が出来るというメリットがあります。しかしインテリアデザインをそのまま利用するのであれば、基本戦略で考えたコンセプトを捨てることにもなります。これをコンセプト通りにしようとしたら結局コストがかかるため、居抜き物件を選んだ意味がなくなります。そのために前店も同じようなレストランで共通点が多ければいいのですが、全く異なるものの場合は問題があります。たとえばカレーや焼肉など匂いの強い料理を扱った店であれば、その匂いを除去することも一苦労になります。前店が同様の料理を出していたならば、そのイメージは簡単には変えにくいということもあります。また最大のデメリットとして考えられるのは、器具や備品の保存状態が悪かったり、店舗自体が老朽化していることが多いということです。

出店エリアマーケティングの際の視点
物件選びでマーケティングするのであれば、第一にそのエリアでの男女別人口、世代別人口、企業数と従業員数、学校数と学生数、店舗予定地での通行量、アクセス手段と交通機関利用者数を調査します。そして店舗候補が交通機関のメインとなる乗降場所から認識し易いかどうか、様々な角度から見る必要があります。

第二には競合店の存在確認です。同じようなメニューを持つ競合店の有無は実際に客としてチェックします。競合店の有無にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

競合店がある場合の考え方は、競合エリアに出店し他店の集客に便乗することです。これはフィリピンでは普通に見られる光景です。ある店が繁盛しているとその周辺に同じような店舗が、どんどんと増殖してくるのがフィリピンなのです。それに対し誰も文句をつける人間はいません。他店を利して集客し、自店は優位性があり差別化したメニューやサービスを提供すればいいのです。ただし一人勝ちを目指す必要はありません。競合エリアごと発展できればOKと考えることです。数ヶ月もすれば勝者と敗者がはっきりしてきます。

競合店が無い/少ない場合についてですが、こちらの方が前者よりもはるかに慎重なマーケティングが必要になります。その際先ず第一に自店がそのエリアで一番乗りであるのか、すでに出店されたが何かの理由で閉店となったのかについて調べます。その結果で立地が悪いのか、メニューの組み合わせが悪いのか、その両方なのか、何故出店しないエリアなのかについて調べます。出店エリアには必ずそういった二面性の存在を認識する必要があるのです。


その参に続く

2014年2月13日木曜日

フィリピンでのフードビジネス・コンサルティング(その壱)

ビジネスに求められるオーナーの資質・素養                 
フィリピンでのフードビジネスは開設にあたっての資格要件があまりないので、安易に考える人が多いという傾向があります。この場合皆さんが考える資格とは【それがないと経営権が得られない】ものだと思います。

しかしビジネスで本来考えるべき資格とは、それがあることでプロとしての信頼感が増すものであったり、経験や知識、資質を証明するものであったりします。そういう意味ではビジネスにおける素養が重要要件になると言えます。フィリピンで成功すれば大抵の国で成功できると云えるほど、フィリピンにおけるビジネスは失敗例が多いのが現状です。従って先ずは素養を磨く手段を考えなければなりません。

当社のフードビジネス顧客は全て欧米人かフィリピン人がオーナーですが、ここではフィリピンでのレストランビジネスについて、日本人オーナーを目指している人のために実行するべきことを提言します。
先ずオーナーが自分なりのマーケティングを試みること
第一にやるべきことはセルフ・ネットマーケティングです。自分がやってみたいフィリピンのビジネスをネット検索する、そして挙がってきたサイトに一つ一つアクセスし有益と思われる知識を取得します。地道な作業になりますが根気強さが求められるので、ここでギブアップするようでしたらビジネスは諦めたほうがいい、無駄な投資をせずに済みます。

つまりはこういう作業をすることが素養を高めていくのです。一通り集まったら精査していきます。比較対照し除外したいものは後悔せずに捨てます。ソースがない/なさそうな情報は不要です。独りよがりの知識や裏づけがなさそうな理論は、害にこそなれ有益情報にはならないからです。

それからビジネスに成功した人の理論は斜読するだけで切り捨てます。失敗者のそれは初めから除外です。失敗から学ぶと言いますがそれは弱者の理論だからです。つまり敗者になりたくないから負けないように経営するという考え方になってしまいます。

また成功者の情報を精査したければ読み取る力が必要ですが、「味の素Philippines」を深く調べるだけで十分です。どうしてももう一つ見たければ異論もあるとは思いますが「ペッパーランチ」です。

しかしこれから起業を考えている人にとって一番有益になるのは、実は【起業して悪戦苦闘しながらも努力を続けている人】が発信している情報なのです。


レストランビジネス必勝の基本戦略
ある程度イメージが出来てきたら次に以下の9つの基本戦略について考えます。

1.事業内容とイメージ
  コンセプトやビジネスモデルの設定

2.ターゲット
  対象となる市場、そして顧客の年齢、性別、職業、家族構成までを考える。

3.商品
  メニューの種類、味つけ、ボリュームを決定しマーチャンダイジングを考える。

4.店舗・組織・スタッフ
  ブランド名となるネーミング、ロゴ、店舗エリア、空間も含めた店舗デザイン、
  コアメンバーのイメージ、接客スタッフイメージと教育方法、外部人材の活用

5.販促
  事業エリア、競合店を差別化できる販促ツール、ウェブ利用、メディア利用

6.投資計算
  施設設備などハード面の投資、雇用投資、マーケティング・販促などソフト面の投資

7.仕入・損出計算
  仕入高、販売費を算出する。

8.売上計算
  顧客単価、メニュー単価、稼働率、メニュー別売り上げ計画

9.損益計算
  バランスシート作成。3~5年の中期で損益に対するシミュレーションを行う。


基本戦略段階での真剣な討議がオーナーを勝者にする
ここまでを当社では基本戦略と呼んいますが、本来はレストラン・オーナーがやるべきことです。そしてこの後はレストラン・マネジメントに関するコンサルティングと進んでいくのですが、当社のフードビジネス顧客である欧米人/フィリピン人オーナーは、この基本戦略の中でこだわりを持っている項目には非常に細かく主張してきます。

当社のコンサルティングの狙いはそこにあるのです。

様々な視点から意見を交わすことになるので、当社もそれによって顧客と共に成長できる喜びが生まれます。


日本人オーナーの多くは計画段階での真剣度が薄い
しかし日本人オーナー希望者の問い合わせは多いのですが、彼らは面倒なことを考えるのは嫌がります。「金を払うのだから考えるのはお前らの仕事だろ」という感じです。当社としては基本戦略を考えることがマネージメントに繋がっていきますので、コンサルティング費用を節減してもらうためにも自分で先ず考えてほしいのです。しかしながらその説明をしていると「難しいことをやりたくないのでもういい」とか、「そんなことは実務を担当するフィリピン人(大体が見るからにビジネスが無理な女性)に言ってくれ」で話が終わってしまうのです。またそのようなフィリピン女性に任せること自体が無謀ですので、それが第一条件として頑として聞く耳を持たない方はこちらからお断りしているのです。

こういった日本人の方が当社に問い合わせをするきっかけは、そのフィリピン女性が当社の顧客からの口コミなどで日本人に勧めた結果、一度話を聞いてみようとなることが多いそうですが、私も頑固なのかもしれませんが無理なものは絶対に無理なので、最終的に当社では出来ませんとお断りしてしまいます。

フードビジネスを成功させるには大変なエネルギーを必要とします。そのエネルギーを出すことをオーナー自身が拒むのであれば、それはフィリピンにおける日本人の失敗の歴史に名を刻むだけなのです。


続く

2014年2月2日日曜日

フィリピン人との離婚に至る現状について(後編)

日本以外の国では非常に困難な婚姻解消
日本でも裁判で離婚/婚姻解消、つまり調停離婚や審判離婚をする人はいるでしょうが、キリスト教国では条件が厳しく日本の裁判ほど簡単ではありません。フィリピンの裁判では、判決で認められながらも裁判官が教義に反するとして署名を拒否されその後の手続きが進まなくなるケースもあるのです。特に当事者がフィリピン人同士の場合、数年以上別居した夫婦だけしか認められないこともありますし、子供がある場合は当然ながら事が更に難しくなります。

複数回フィリピン人と婚姻離婚を繰り返した日本人がフィリピン人との婚姻手続きを行っている途中で、フィリピン行政機関が日本人に婚姻無効裁判を求めたり、人身売買の疑惑をかけられ婚姻歴や出入国歴を調査されたり、日本大使館に身分照会されたりして婚姻手続きや招聘手続きが進まなくなるケースも最近では出てきているのです。従ってフィリピンのように離婚/婚姻解消を厳しく制限している国の人との結婚も、簡単には考えず慎重且つ覚悟をもった上で行うべきなのです。

成田離婚のような婚姻・離婚の軽さは最早犯罪的と云える
ヨーロッパのキリスト教国では簡単に結婚をしませんし、子供の出生後に結婚する人も増える傾向にあります。それに比べると日本は結婚も離婚も非常に簡単に出来てしまう、他国、特に先進国からは理解しがたい珍しい国家なのです。つまり異常なのは日本の離婚制度であって、何でも日本を基準に考える事自体がおかしいのです。制限がないので同じ人と何回結婚しても離婚しても許されますし、結果的にこういった安易さを原因として国際結婚の破綻率を高めているのです。日本の行政機関も国際結婚カップルの離婚率に言及する前に、ガラパゴス的な現状の離婚制度に対して厳しくする方向で検討してみてはいかがでしょうか。

イギリス、イタリア、フランス、オランダなどをはじめとしたヨーロッパの殆どが協議離婚制度を持っていません。裁判所を介するしか離婚/婚姻解消する方法がないのです。そして裁判手続には大きな費用と長い期間がかかるので、簡単に離婚/再婚しようとする人はいません。だから結婚に対しても当然慎重になるのです。

フィリピン人との結婚も同じなのに、余りに軽率な婚姻が多いのに驚きます。また夫が日本人の場合、子供も捨てるケースが殆どです。親権、慰謝料、チャイルドサポート、財産分与といった問題だけでなく、将来的に相続で更に複雑な問題が発生する可能性もあるのです。こう考えるとフィリピン人とも簡単に離婚できない事がお分かりになるでしょう。

婚姻生活に必須な許容と理解の深さ
最後に動画をご紹介します。ご存知の方も多いかと思いますが、フィリピン女性と結婚し日本で裕福でないながらも生活する日本人夫が自主制作したものです。普通はこんなに言葉や態度が悪くややっこしい女とは結婚しませんし、結婚したとしても即離婚していますが、この日本人夫は妻に振り回されながらも、非常に寛容な方でトラブルも人生の一部として楽しめる心の余裕がある素晴らしい人物だと思います。

日本人夫に定職がないこともあるでしょうが、フィリピン人の妻は自分の国のスタイルで生活している事、夫が妻のスタイルを許容している事が新鮮な驚きでした。彼の動画を見てフィリピン人と円満な婚姻生活を送る秘訣が分かったように思いました。

http://www.youtube.com/watch?v=1KLkN9keNWU

2014年2月1日土曜日

フィリピン人との離婚に至る現状について(中編)

良質なサポートを受けた婚姻は破綻し難い
同様の出会いで結婚に至り当社のサポートで手続きを行ったカップルで、不幸にも相手が病気で亡くなったケースを除けば離婚したのは1組だけで、離婚率は0.01%にも達しない数値です。他社でも同様に少ない離婚率であるはずです。

というのは手続き代行を請け負った者が日本人とフィリピン人に対し、十分な説明を行いながら進めていくので特に日本人はその説明を聞きながら、手続きの概要やフィリピン人との婚姻生活の理解度も深まっていくからです。優秀な会社に依頼すれば対価に見合ったサービスが期待出来るのです。

時間と理解力がある人ならば若しくはフィリピン人がしっかりとした人物ならば、決して難しい手続きではないので当事者たちだけで終わらせることは出来ます。フィリピン在住の人なら余程忙しい人でない限り時間をかけてやればいいことです。

自身での解消が困難なフィリピン人の問題
しかしフィリピン人側に何か問題がある場合、それを合法的且つ適切に解決できるかと言えば巷に溢れる多くの失敗例からそうではありません。フィリピン人にそこまで期待するのは無理ですし泥沼化するだけです。

特に日本への入国回数が多いフィリピン人ほど、不正入国歴や犯罪歴に注意しなければなりません。入国歴がなくても婚姻歴があるかどうか、相手の主張を鵜呑みにせず独自で調査することも当然必要になってきます。日本人同士であっても興信所に調査依頼をするケースがあります。何故フィリピン人に対してそういった調査を行わないのか、第三者から見れば不可解な日本人が沢山います。またどんなに第一印象が素晴らしい出会いであっても、結婚するのはやめた方が良い事例が沢山あります。それは周知の通りネットなど様々な情報で簡単に見ることが出来ますので、危ないと感じたらやめればいいのです。

日本人の結婚観・宗教観・婚姻モラルにも問題が
日本人は離婚歴4回以上という人も決して少なくないのが現状です。一般の人から見ればそんなに離婚歴が多いのは不謹慎、犯罪と思うのですが、日本の民法に結婚と離婚の回数制限がないこと、そして日本は宗教国家、特にキリスト教国ではないので、倫理的に縛られることがないことも簡単に結婚離婚を繰り返す一因となっています。

キリスト教国では法により簡単には離婚出来ません。キリスト教では、宗教と婚姻生活は強い関連性を持ち切り離すことが出来ないので、宗教上の理由から婚姻生活を非常に重んじています。特にカトリックでフィリピンのミサに出た事がある人なら、それを痛切に感じるはずです。

日本人の中にはフィリピン人は悪い事ばかりするから、毎週ミサに出て神様にごめんなさいをするのだろうという馬鹿な事を考える人もいますが、全くのお門違いでそういう無知無教養な人は二度とフィリピンに関わらないか、一度信仰というものをしっかりと勉強し直した方がいいと思います。

フィリピン人にとって宗教は人生の重要な部分を占めるものなのです。それが具体的に彼らの生活や人生にどのように関わっているのか、理解しようと努力しない人にフィリピン人を語る資格はありません。

また巷で見かける【フィリピンでは離婚が認められていない】という論説は正しくありません。これを言う人は宗教との関わりを理解できていない人です。正確に言えば【協議離婚が認められていない】のです。日本のように当事者の話し合いだけで出来る協議離婚はありません。フィリピン人は日本で成立した離婚を本国地方裁判所で離婚承認裁判を行うか、婚姻無効裁判を行い本国での婚姻を解消しなければ再婚が出来ないのです。

後編に続く